建設・土木業界の中堅ゼネコンとして知られる安藤・間(旧・安藤ハザマ、証券コード:1719)。東京証券取引所プライム市場に上場するこの銘柄は、土木・建築の両分野で高い技術力を持ち、直近の決算では増収増益基調を継続しています。本記事では、最新の株価動向、業績、配当、そして投資家が注目すべき強み・リスクについて、初心者にもわかりやすく解説していきます。
※本記事は2026年6月末時点で確認できた情報をもとに作成しています。株価や指標は日々変動しますので、実際の投資判断の際は最新の情報をご自身でご確認ください。また本記事は投資助言ではありません。
1. 安藤・間(1719)とはどんな会社?
安藤・間グループは、土木事業と建築事業を主力とする総合建設会社(ゼネコン)です。国内外の土木工事全般を手がける「土木事業」、国内外の建築工事全般を担う「建築事業」、そして建設用資材の販売・リースや施工を行う「グループ事業」の3つの事業セグメントで構成されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 証券コード | 1719 |
| 会社名 | 株式会社安藤・間(旧:安藤ハザマ) |
| 市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
| 業種 | 建設業(土木・建築、建築とエンジニアリング) |
| 従業員数 | 約3,753人 |
| 単元株数 | 100株 |
2. 株価動向をチェック
2026年7月1日時点の株価は1,769.5円(前日比-25円、-1.39%)となっています。年初来の値動きを見ると、2026年2月12日に年初来高値の2,270円をつけた後、6月2日には年初来安値の1,700円まで下落する場面もあり、値幅の大きい展開となっています。時価総額はおよそ3,203億円です。
| 指標 | 数値(2026年7月1日時点) |
|---|---|
| 株価 | 1,769.5円 |
| 年初来高値 | 2,270.0円(2026/2/12) |
| 年初来安値 | 1,700.0円(2026/6/2) |
| 時価総額 | 約3,203億円 |
| PER(会社予想) | 12.50倍 |
| PBR(実績) | 1.33倍 |
| EPS(会社予想・2027/3期) | 141.51円 |
| BPS(実績) | 1,327.51円 |
| 配当利回り(会社予想) | 4.75% |
建設株全体としては、大林組・大成建設・清水建設・鹿島など同業他社と比較されることが多く、これらの銘柄と株価が連動する傾向も見られます。PER(株価収益率)は同業他社平均よりやや低めの水準で取引されており、割安感を指摘する声もありますが、これは建設業界特有の受注産業としての業績のブレやすさが背景にあると考えられます。
3. 直近の業績・決算内容
2026年5月14日に発表された2026年3月期(通期)決算では、売上高が前期比3.4%増の4,396億円となりました。一方で、労務費や販管費の増加が響き、営業利益・経常利益は前期を下回る結果となっています。それでも、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比12.5%増の297億円と増加し、増収減益ながら最終利益は伸びる形となりました。自己資本比率も50.6%まで改善し、財務体質の強化が進んでいる点は評価できるポイントです。
会社側が公表している2027年3月期の業績予想では、売上高は前期比11.5%増の4,900億円と積極的な成長を見込む一方、純利益については前期比25.4%減の222億円と、減益を見込む内容になっています。これは前期に計上された一時的な要因の反動や、資材・労務費の上昇を保守的に織り込んだ結果と考えられます。次回の決算発表は2026年8月頃を予定しているとされています。
4. 配当・株主還元
安藤・間は建設セクターの中でも比較的配当に積極的な企業として知られています。会社予想の1株当たり配当金は80〜84円程度とされており、株価水準によって配当利回りはおおむね4%台半ばとなる計算です。過去5年間の配当は右肩上がりで増加してきた実績があり、配当政策の継続性という点では安心感のある銘柄といえるでしょう。ただし配当額は業績動向によって見直される可能性があるため、決算発表時の配当予想の修正には注意しておきたいところです。
5. 強み・注目ポイント
- 受注・繰越工事の増加:国内工事を中心に受注高と手持ち工事(繰越工事)が積み上がっており、今後の売上の土台になると見られます。
- 土木事業の増収増益:官公庁工事などの進捗が寄与し、土木部門は増収増益を確保しています。
- 再生可能エネルギー事業の進展:バイオマス発電所の営業運転開始や太陽光PPA事業の継続により、ストック型収益の拡大余地が生まれています。
- 海外展開の強化:シンガポールでリニューアル建築に実績のある建設会社を子会社化し、海外での案件獲得力の強化を図っています。
- ICT・AI活用による生産性向上:BIM/CIMの活用や省人化技術の導入を進め、現場の生産性向上とコスト抑制を目指しています。
- 財務基盤の強化:自己資本比率の上昇や現金残高の増加により、成長投資や株主還元に振れる財務的な柔軟性が高まっています。
6. 注意しておきたいリスク要因
- 労務費・資材価格の上昇:資材や人件費が上振れした場合、契約条件によっては価格調整が進みにくく、工事採算に影響する可能性があります。
- 技術者・技能労働者の不足:建設業界全体に共通する課題として、技能労働者の高齢化・減少が稼働制約や外注費増加につながるリスクがあります。
- 工事原価見積りの変動:工事進行基準による収益計上のため、原価見積りの変動が期間損益のブレ要因になりえます。
- 自然災害・気候変動の影響:気温上昇による現場生産性の低下や、災害による資材調達の混乱・工程遅延が想定されています。
- 海外事業・為替リスク:海外の法規制や政治経済情勢の変化、為替変動が海外工事・子会社の収益に影響する可能性があります。
- M&Aに伴うのれん償却負担:買収により計上したのれんの償却が、想定通りの事業統合が進まない場合に利益計画への負担となる可能性があります。
7. 割安な価格の目安をチェック
「いくらなら割安と言えるのか」は投資家それぞれの判断基準によって変わりますが、ここではPER(株価収益率)・PBR(株価純資産倍率)・配当利回りという3つの代表的な指標から、目安となる株価水準を試算してみます。
| 評価軸 | 基準 | 目安株価 |
|---|---|---|
| PER基準 (会社予想EPS 141.51円) |
PER10倍 | 約1,415円 |
| PER11倍 | 約1,557円 | |
| PER12倍(同業他社平均に近い水準) | 約1,698円 | |
| PBR基準 (実績BPS 1,327.51円) |
PBR1.0倍(解散価値ライン) | 約1,328円 |
| PBR1.1倍 | 約1,460円 | |
| PBR1.2倍 | 約1,593円 | |
| 配当利回り基準 (会社予想配当84円) |
利回り5.0% | 約1,680円 |
| 利回り5.5% | 約1,527円 | |
| 利回り6.0% | 約1,400円 |
いずれの指標で見ても、現在の株価(1,769.5円)はやや割高〜適正圏に近い水準にあり、明確な「割安」ゾーンに入るには、株価がおおむね1,400円台後半〜1,700円前後まで調整する必要がありそうです。実際、2026年6月2日につけた年初来安値の1,700円は、このレンジの上限付近に位置しており、直近の値動きの中では比較的お買い得感が出ていたタイミングだったと言えるでしょう。
なお、同業他社の平均PERはおよそ12倍台であるため、業界平均並みのPERまで調整した水準(1,700円前後)を「相対的な割安の目安」、PBR1倍割れの1,330円前後を「かなり保守的な割安ラインの目安」として意識しておくと、買い時を判断する一つの参考になります。ただし建設業は受注産業ゆえに業績のブレが大きく、単純な指標だけで判断せず、決算発表ごとの受注動向や利益予想の修正もあわせて確認することをおすすめします。
8. まとめ:安藤・間(1719)はどんな投資家に向いている?
安藤・間は、堅実な土木事業を軸に、再生可能エネルギーや海外展開といった新たな収益源の育成にも取り組んでいる中堅ゼネコンです。増収増益が続く中で自己資本比率も改善しており、財務の安定性は高い水準にあります。配当利回りも4%台と、他の高配当銘柄と比較して見劣りしない水準を維持している点は、長期保有を前提とした配当重視の投資家にとって魅力的なポイントといえるでしょう。
一方で、建設業特有の受注産業としての業績のブレやすさ、労務費・資材価格の上昇リスク、そして人手不足という構造的な課題も抱えています。2027年3月期は増収減益予想となっている点にも留意しつつ、決算発表ごとの業績動向や受注状況の変化を継続的にチェックしていくことが重要です。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の株式の購入・売却を推奨するものではありません。投資判断は、最新の開示情報をご自身で確認の上、ご自身の責任で行ってください。
参考情報:Yahoo!ファイナンス、日経電子版、Investing.com Japan、株探などの公開情報をもとに作成



